ものの考え方もいろいろ

  ものの考え方もいろいろ

土を耕す文化と
移動しながら糧を得る文化
そのどちらも文化

  かつて、世界の覇者と恐れられた蒙古は、今の東ヨーロッパまで
その領土を拡大しました。彼らは豊かな草と水を求め、羊とともに
移動する生活をしていました。表土の薄い大地を傷つけることは
地力を失わせ、砂漠化を促すだけだと知っていたから、決して耕そう
とはしませんでした。そんな彼らのことを、漢民族は野蛮な「凶奴」
と呼び、その侵入を防ぐために万里の長城を築いたのはご存じですよね。
 漢民族は土を耕し計画的な農業を行うことで、優秀な文化を持つ民族
であると考えていました。このどちらが優れた文化を持ってるかという
比較は必要ありません。蒙古騎馬民族の、食べ物(羊)を連れて移動して
いれば飢え死にしないという考え方も、定住しながら計画的に作物を栽培
していく安定した生活という考え方も、どちらも正しいからです。
 要するに、その土地にあった生活をすることが、自然なことなのです。
 子育ても教育もまた同じです。「○○式教育法」を子どもにほどこせば、
優秀な人間に育てられる?勝ち組になれる?教育基本法に「愛国心」を謳えば、わが国を愛する子どもに育てられる?
もういい加減にしましょう。あまりに単純で、稚拙で一方的な考え方は、
子どもが迷惑します。まずは、大人が多くの知識と豊かな知性を持たなければ、子どもが豊かに育つはずもありません。
 なぜなら、子どもは大人のすべてを映し出す鏡なのですから。