子どもの発達が少しくらい遅くても
その分、しっかり充実して育つ

 子どもの発達が少しくらい遅くても
その分、しっかり充実して育つ
 子どもの発達が他の子と比べて遅いと気になるものですが、そんなとき焦ってはいけません。発達の早い遅いを乗り物に例えてみましょう。飛行機や新幹線で移動すれば、はやく目的地に到着できますが、そこにたどり着くまでの経験はとても少ないですよね。ところが、各駅停車の列車や自動車だと、その道中でいろいろな経験ができます。歩いて移動すれば、もっと多くの経験ができます。育ちには出会いや見聞きして感じるという具体的な経験が多いことがとても大切なのです。
 育ちは、少しゆったりしているくらいがいいのです。「じっくり時間をかけて育っている」と思えばいいのです。昔から「大器晩成」という言葉がありますが、本当にすごい人は、才能の遅咲きが多いことから生まれた言葉なのでしょうね。
 今回の話にふさわしいかどうかわかりませんが、「佐賀のがばいばあちゃん」(島田洋七著・徳間書店)にこんな言葉がありました。「通知表が1と2ばっかりでごめんね」とばあちゃんが言うと、「大丈夫、大丈夫。足したら5になる」と笑った。
「通知表って足してもいいの?」と聞くと、今度は真顔で、「人生は総合力」と言い切った。
 なんていいばあちゃんなんでしょうね。私もそう言われて育ちたかった。