自然な心の芽生え

 自然な心の芽生え

一点のかげりもなく
他に注意をそらすこともなく
湧き出てくる愛情を持って接する心の動きこそ
最も重要な「愛着」です
そこから心が自然に芽生えはじめるのです

「赤ちゃんは親、特に母親との親密で情緒的な交流が早期からしっくりいくと、自然な心の芽生えが生じる。心もまた母親のお腹にいる胎児と同じように、一貫して温かく親密で裏切られることのないふれあいの中で、すくすくと分化発達していけるのだ」
 乳幼児精神医学の専門家である慶應義塾大学医学部小児科講師渡辺久子氏はそう述べています。
 子どもの心は対象に対して、とても敏感で繊細です。親の都合や気分で接すると何がなんだかわからなくなるのです。だから、無条件の愛情を抜きにして、子どもの心は育たないといえるでしょう。そして怖いのが、親の都合で態度に二重性があれば、子どもはダブルバインド(二重拘束)を受けてしまうということです。例えば幼い子に、「おやつを食べなさい」と言ってお菓子を出す。子どもはお菓子の破片を床にこぼしながら、おいしそうに食べる。「そんなにこぼすなら、もうお菓子はあげない」と躾のつもりで怒ったとすれば、子どもの心の中には親の心を判断しがたい「???」がいっぱい残ります。このダブルバインドは極めて危険なゆがんだ「愛着」の向け方なのです。今社会で起きている
事件の一つの原因に、このダブルバインドを取り上げる学者もいるほどです。
 子どもにとって裏切られる心配のない、安心できる大人でいつもいたいですね。